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2017-02-06

ミュージカル ミッドナイト あらすじ

ネタバレ&適当注意
※今回の挿絵は盛ってません(当社比)


毎晩、人々がどこかに連れ去られ、いつの間にか消えてしまう恐怖の時代。
互いへの愛と信頼で支え合い、厳しい時代を耐え抜く夫婦。

無事に生きていることに感謝し、新しい年を迎える準備をしていた12月31日の夜。

午前0時になる直前、「ドンドンドン!」
激しくドアをノックする音とともに、不吉な「お客様(ビジター)」が訪ねてくる。

2人の恥ずべき秘密を一つ一つ明かし、夫婦を恐怖と軽蔑の念に震えさせる「ビジター」。

耐え難い真実に苦悩する夫婦に「ビジター」は自身の正体を明かし、最後の選択を迫る…。
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Act. 1

01. The Future Came A-Knocking (その日がやって来た)

1937年、ソ連統治下のアゼルバイジャン。
忍び寄るNKVD(エンカベーデー)。

大晦日の夜、夫の帰りを待つ妻。

02. At The Stroke of Midnight (零時の鐘が鳴れば)

隣の家にはNKVDの捜査が入り、また一人連れて行かれたようだ。
ノックの音に怯える妻のもとに、ついに夫が帰ってきた。



年末まで仕事をする夫に不満を打ち明ける妻。
隣の家にNKVDが来たこと、夫の友人の弁護士夫婦が連れて行かれたことを話す。

03. Here With You (君と一緒に)

心配する妻とは反対に、夫はどこか気楽である。
あと数十分で最悪だった1937年は終わる。新しい年を明るく迎えようと提案する夫。

それでも不安がる妻に、夫は賞与として「プロテクション」を手に入れたことを話す。
国に認められた人物として、NKVDの捜査から免れる権利だという。

04. Let Your Self Go (自由に生きよう)

これ以上怯える必要がないと喜ぶ二人は、闇市場から買ってきたレコードをかけながら踊って喜ぶ。



シャンパンの入ったグラスを掲げて、新年を祝おうとしたその瞬間

ドン ドン ドン!

05. At The Stroke of Midnight (Reprise)

焦って扉を開けると、NKVDの制服を来た客人<ビジター>が立っていた。
少し電話を貸してほしいと家に入るビジター。怯える夫婦。

気づくと時計の針が止まっている。

06. The Secret Policeman's Lament (秘密警察の哀歓)

我々秘密警察は必死に仕事をしてるのに、誰も褒めてくれない。
仕事はまだ終わったわけじゃない。あと一人連れて行かなければならない……

そんな雑談をしながら家に居座るビジター。夫婦はそれとなく追い返そうとする。


「プロテクションを手に入れたでしょう」と話しかけるビジター。
何故それを知ってるのか驚く二人。

「それが何に対しての賞与か知っていますか?」と妻に尋ねる。彼女は首を振る。

07. We Said, You Said (私たちは、あなたは)

それは夫が市民を告発していたからだ、と暴露するビジター。




08. What Would You Do? (どうする?)

隣の家の夫婦も夫が告発したのだった。

君を守るためにはそうするしかなかったと言う夫を軽蔑する妻。
夫は、とにかく二人のためだったとキレる。

09. Dear Comrade Stalin (ディア 閣下)

「でもそれが最後ではないでしょう?」と夫を遮って話すビジター。

夫は楽しんで、自ら進んで摘発したという。
それも、友人の弁護士を。

信じられないでいる妻に、ビジターが手紙を差し出す。
それは夫が「閣下」に向けて書いたものだった。


「いくら親しい相手でも、"独裁者は嫌いだ”と言ったなら、私が告発するしかありません」

ノリノリで手紙を書き、NKVDと楽しく踊る夫。

「本当に心苦しいですが、愛する閣下のために尽します」

10. The Great Machine (偉大な権力)

この手紙のせいで多くの人間が死んだと泣く妻。
どうせ死ぬ命だったと言い訳をする夫。

もうこの国家自体が、どうしようもないのだと。


昨年に世論操作のための公開裁判が開かれた。
国家に一生を捧げた幹部が、計画的な陰謀で告発された。
彼らは何の罪もないのに、自白させられた。
最後まで閣下に対する忠誠を叫びながら。

その後、粛清は伝染病のように広がった。
勝者の集いだと呼ばれた1934年、
議会に参加した議員の大部分が千人以上処刑された。

それは血の狩猟、その始まりに過ぎなかった。

当時の粛清で、初期指導部は跡形もなく消えた。みな銃殺された。

粛清を主導したNKVDの首長までも背信疑惑で有罪、そして銃殺。

NKVDは150万人を監禁した。
そのうちの70万人を殺害した。
一日平均千人ずつ殺した。

「私は命令に従うのみ」

「偉大なる閣下、永遠に!」

Act. 2

11. Papa (パパ)

どうしてこんな風に生きているのだろう。
優しい父がいた、幸せだったあの頃に戻りたいと願う妻。

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大晦日の夜なのに、外には誰もいない。
これがどういうことか分かったと訴える夫。

時計が止まったのではなく、時間が止まったのだ。
ビジターはNKVDの人間なんかじゃない。
その正体は、悪魔だ!


……そんなわけないと一蹴する妻。

12. Everyone's A Devil Now And Then (誰だって悪魔でしょう、時には)


「好きなように考えれば良い、人間は誰しも"悪魔"でしょう?」

そう言って無理やり妻と踊り始めるビジター。

嫌がっていた妻の目の色が、だんだんと情熱に変わってきた。
こんなに高揚した気分は久々だという妻。

「そう、まるでNKVD本部に行った時のようでしょう! …おっと、口が滑りました」

13. Let Me Sleep (夜を下さい)

自らの安全と引き換えに、夫に隠れて、多くの人間を告発していた妻。
黙ってたことを責める夫に対し、妻も逆ギレ。

殺してくれと懇願する、告発された人々。
妻は告発したのが自分であることがバレないようにと、祈りながら過ごしていた。


妻の家族写真を見ながら、これがあなたの父親かと尋ねるビジター。

ビジターは父親について語り始める。世界で一番素晴らしい人だったと。
我らが秘密警察の幹部であったと。

父親は優しい人だったと言い返す妻。

ベラベラと話し続けるビジター。
その頭に、妻がワインの瓶を振り下ろした。

「お前と父さんが友達だった? そんなことあるわけない!」


「死ね!」

14. Did They Ask You (彼らが聞いたか)

倒れるビジター。

NKVDに追求されたらなんて答える気だと焦る夫。
さり気なく自分が2回、いや4回程NKVD本部に行ったことを告白する妻。

「僕のことについて話したのか?!」
「何も話してない!早く死体を消さないと!」
「聞かれたんだな!? なんて!?」
「このままゴミに捨てるわけにいかないでしょ!」
「僕よりあいつらを信じるのか!? どうか話してくれ!!」
「そんなことしてる暇は無い!」と夫をビンタし、斧を持ってくる妻。
頭部を切り離そうと、斧を振り上げた瞬間、

「さすが、この父親にしてこの娘ありだ」

その手をつかんで、ビジターが立ち上がった。



15. Everywhere (どこにでも)


この世界には、もっと酷い人間がいるのに、なぜ僕たちのもとに来たんだ!と訴える夫。

「なぜ私が、ここにしかいないと思うんですか?」

ビジターは二人のうち一人だけを連れて行くと言った。
夫婦は互いをかばうが、ビジターはもう誰を連れて行くか決めたという。

最後の真実を知れば、それが誰かはすぐにわかるだろうと……。

逆上してビジターに殴り掛かる夫、そして妻。

最終的に妻が本で頭を殴ると、ビジターは倒れた。

この忌々しい目、と素手でビジターの片目をえぐる妻。


そして、今度こそ本当に始末しなければと斧を持って来ると、そこにあったはずのビジターの死体がなくなっていた。



……

時計が動きが始めた。
あれは悪い夢だったのだと、妻をなだめる夫。

気を取り直して、新年を祝おうとした瞬間。

ドン ドン ドン


眼帯をつけたNKVDが、従者を連れて入ってきた。

ビジターは夫に一枚の手紙を渡す。
告発された弁護士が、夫も仲間であると白状したのだ。

こっちにはプロテクションがある、国に認められた人間を連れて行くことはできないと訴える夫。

客人は答える。
「プロテクション? そんなものはない。」

16. The Great Machine (Reprise)

夫は、君を渡す訳にはいかないと、妻に愛を誓い、
アパートの窓から飛び降りた。

...

「ついに夫は逃れたのね…あなたから…」

妻は客人に話しかける。
「やっぱりあなただったのね」 

客人は眼帯と帽子を外す。
「いつだって私ですよ」

妻は、これから自分がどうなるのか恐ろしいとこぼす。
「目をえぐったあなたに、恐ろしいことなんてあるんですか?」と答えるビジター。


あなたがこれから行く場所は、今よりずっといい場所ですよ。
今より悪い世界があると思いますか?

音楽もあり、歌もある。

あなたは、地獄のような時間を過ごすんです。


5 Eunhasu Evans: ミュージカル ミッドナイト あらすじ ネタバレ&適当注意 ※今回の挿絵は盛ってません(当社比) 毎晩、人々がどこかに連れ去られ、いつの間にか消えてしまう恐怖の時代。 互いへの愛と信頼で支え合い、厳しい時代を耐え抜く夫婦。 無事に生きていることに感謝し、新しい年を迎える準備をしていた12月31日の夜。 ...
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