1幕 R Shomon
原作 芥川龍之介「藪の中」、黒澤明『羅生門』
警備員の証言1
02. The Janitor's Statement
おれは映画館の警備員です。あの日は、とても大きな映画の公開日でした。日本の映画です。
大掃除が必要になって、それが終わったのは朝の5時頃でした。
そして帰り道にセントラルパークを通った時、死体を見つけました。見たのは死体だけです。
あなた方の言うナイフは見ていません。本当です!
強盗の証言
03. The Thief's Statement - She Looked at Me
1951年は、このジミー・メイコがNYを脅かした年として記憶されるだろう。
男を殺したのはオレだ。どうせ死刑になるんだ、正直に話してやろう。
あの土曜日、俺は映画館付近をぶらついていた。
夜の10時頃、一人の女がそこから出てきた。とても色っぽく、オレ好みの女だった。
ヤツは、オレを誘うような目で見てきやがった!
彼女はオレを通り過ぎ、偉そうなスーツの男と歩いていきやがった。
人をからかうのがお上手なようだ。オレはその後をついて行った。
04. See What I Wanna See
「♪私は見たいものを見る 知りたいことを知る 口出しするなら 消えて頂戴」
彼女は高級なクラブで歌を歌っていた。
あまりにもセクシーな姿に、オレはもう堪らなかった。
スーツの男に話しかけた。そいつは彼女の夫だという。
女を手に入れるには、まずこの男から片付けないといけなかった。殺すまでもないことだ。
05. Big Money
酒で打ち解けて、奴を誘い出した。
「セントラルパークの奥、銅像から少し行った小屋に、大金が隠されてる。お前は見張りで立ってるだけでいい」
06. The Park
彼女は乗り気じゃなかったが、フラフラの夫を放っては置けなかったんだろう。
オレは男を藪の中に誘い込んで、頭を殴り、特別な時のために持ち歩いてる紐で奴を縛った。
それから、夫が倒れお前が必要になったと彼女を呼んだ。
それから…? それから……
彼女は小刀でオレに歯向かったが、何の役にも立たない。
悪魔のような冷たい瞳、熱い身体。 「こうされたかったんだろ? 真実を言え!」
07. You'll Go Away with Me
お前はオレと一緒にいたいはずだ。
真実なんてオレには関係ない。全てを捨てて、一緒に行こう。
08. Murder
「アンタか私の夫か、どちらか一人に私は着いていく。この、**野郎…」
彼女は、オレ達に戦って決めろと言った。
別にそれで構わない。ナイフで戦うのは得意分野だ。
男はオレのナイフで、オレは彼女の小刀で。
どちらが勝ったかは言うまでもない。
……気がつくと女は消えていた。
何処に行ったかは知らない。警察を呼びに行ったんじゃないのか?
信るか信じないかは自由だ。凶悪犯ジミー・メイコが男を殺した。それが真実だ。
警備員の証言2
09. Best Not to Get Involved
…ヤツを見ました。言わなかったんじゃなくて、忘れてたんです。
でも犯行は見てません、おれが見たのは死体だけなんです!
…死体を見つけてから? 普通の人ならみんな取る行動を取りましたよ。
家に帰りました。
この危険な都市で生きていく最良の方法は、関わらないこと。
何が何処に繋がっているか分からない。保身は大事なことでしょう?
女の証言
10. The Wife's Statement
私が夫のルーイを殺しました。
夫はあの日映画に連れて行ってくれました。
私は、映画が好きな彼が大好きでした。
アイツに襲われてから、私は気を失っていたようです。目を覚ますと、朝になっていました。
夫は生きていました。私を見ていました。冷たく、死んだような目で…。
全て見ていたんです。汚れた私を…。
「ルーイ、私を殺して…」
11. Louie
ギャンブルに溺れてた私を救ってくれたルーイ。
優しくしてくれた、永遠に一緒にいようと誓った、私の天使、ヒーロー、私の夫。
「一緒に」
夫がそう囁きました。二人で死のう、と。
私は、小刀を彼の胸に刺しました。彼は震える私の手を掴み、もっと深くに小刀を刺し込みました。
でも…でも自分が死ぬのは怖くて……
薬を飲んだり、川に飛び込んだり、努力はしました。でも、死ねなくて……
そう、私が夫を殺したんです!
警備員の証言3
そういえば、女性を見ました。あんなに綺麗な女性は初めて見ましたから。
でも何があったかなんて分かりませんよ。超能力者でも無いのに。
真実を答えられるのは死んだ人だけでしょう?
霊媒師の証言
12. The Medium and the Husband's Statement
あたしは死んだ魂と語らう霊媒師。
ある日霊媒中に、突然別の魂が入ってきました…。
それは、何かを話したがっている「夫」の魂……
夫の証言
……俺は馬鹿だ。あの男を信用するべきではなかった。分かっていた。
一緒に行こうと言われた妻は、まるで予てから願っていたかのように、ヤツについて行った。
俺は違うことを考えようと思った。奴らが交じる姿なんて見たくなかった。
13. Quartet: You'll Go Away with Me (Reprise)
あの夜見た映画、「RASHOMON」。看板のAの文字が外れていた。
「アヘン」の「あ」、「喘ぎ」の「あ」……
「あなたと一緒に行くわ。過去なんて捨てて……」
14. No More
「私の為に何でもしてくれる? あの男は、私を自分の持ち物だと思ってる。あの男がいる限り、私に平和は訪れないわ!」
悪魔のような私の妻、リリー。
「アイツを殺して!」
ヤツが俺に近づいて来て言った。
「あの女をどうする? 殺すか? あいつは俺より酷い悪人になるぞ」
望むなら自分で殺れと、ヤツは俺の縄を解いた。
15. Simple as This
もうその場には、俺の泣き声が聞こえるだけだった。
俺は小刀を拾い上げた。それはリリーに護身用として贈ったものだった。
裏切り者、リリー。
俺は人生を嘆き、その小刀を自分の胸に突き立てた!
死ぬのには時間がかかった……
…すると誰かが近づいてきて、小刀を引き抜いた。
……血が溢れ出し、俺の意識は霞んでいった……
霊媒師の証言
…これがあたしの聞いた全て。
あたしは死んだ魂と語らう霊媒師。
ある日霊媒中に、突然別の魂が入ってきました…。
それは、何かを話したがっている「夫」の魂……
夫の証言
……俺は馬鹿だ。あの男を信用するべきではなかった。分かっていた。
一緒に行こうと言われた妻は、まるで予てから願っていたかのように、ヤツについて行った。
俺は違うことを考えようと思った。奴らが交じる姿なんて見たくなかった。
13. Quartet: You'll Go Away with Me (Reprise)
あの夜見た映画、「RASHOMON」。看板のAの文字が外れていた。
「アヘン」の「あ」、「喘ぎ」の「あ」……
「あなたと一緒に行くわ。過去なんて捨てて……」
14. No More
「私の為に何でもしてくれる? あの男は、私を自分の持ち物だと思ってる。あの男がいる限り、私に平和は訪れないわ!」
悪魔のような私の妻、リリー。
「アイツを殺して!」
ヤツが俺に近づいて来て言った。
「あの女をどうする? 殺すか? あいつは俺より酷い悪人になるぞ」
望むなら自分で殺れと、ヤツは俺の縄を解いた。
15. Simple as This
もうその場には、俺の泣き声が聞こえるだけだった。
俺は小刀を拾い上げた。それはリリーに護身用として贈ったものだった。
裏切り者、リリー。
俺は人生を嘆き、その小刀を自分の胸に突き立てた!
死ぬのには時間がかかった……
…すると誰かが近づいてきて、小刀を引き抜いた。
……血が溢れ出し、俺の意識は霞んでいった……
霊媒師の証言
…これがあたしの聞いた全て。
ただの霊媒師ですから、真実だけを話します。
警備員の証言4
16. Light In the East/Finale Act 1
一人の男が死んで、おれが死体を置き去りにした。そういうことです。
もう公園を通るのも恐ろしい。この街は綺麗に見えて、実は残酷ですね…。
ええ、もう一度最初から始めましょう。映画のプレミア。午前5時、日曜の朝。
東に見える光、新しい太陽、街が目覚める音。
西に沈む夜、疲れた月、夜は忙しく街を襲う。
それはまるで泥酔したゲストが、主人から何かを盗むように。
残るのは疲れた目、性交の香り、酔った嘘。
朝は良い。歩くのにも、息をするのにも、真実を見るのにも。
霊媒師の証言 あたしは彼の言葉を繰り返しただけ。信じられませんか?
女の証言 他に何が聞きたいんですか? 知ってることは全てお話しました。
夫の証言 もう知っていることはない。俺は死んでいるんだ。
公園 銅像 強盗 妻 言葉 美しさ 魂 スカーフ 闇 小刀 瞳 小屋 女 身体 血 肌 夫 性格 馬鹿 真実
真実とは…?
END
警備員の証言4
16. Light In the East/Finale Act 1
一人の男が死んで、おれが死体を置き去りにした。そういうことです。
もう公園を通るのも恐ろしい。この街は綺麗に見えて、実は残酷ですね…。
ええ、もう一度最初から始めましょう。映画のプレミア。午前5時、日曜の朝。
東に見える光、新しい太陽、街が目覚める音。
西に沈む夜、疲れた月、夜は忙しく街を襲う。
それはまるで泥酔したゲストが、主人から何かを盗むように。
残るのは疲れた目、性交の香り、酔った嘘。
朝は良い。歩くのにも、息をするのにも、真実を見るのにも。
霊媒師の証言 あたしは彼の言葉を繰り返しただけ。信じられませんか?
強盗の証言 全ては俺の話した通り。嘘をついて何になる? どうせ俺は死ぬんだ。
女の証言 他に何が聞きたいんですか? 知ってることは全てお話しました。
夫の証言 もう知っていることはない。俺は死んでいるんだ。
公園 銅像 強盗 妻 言葉 美しさ 魂 スカーフ 闇 小刀 瞳 小屋 女 身体 血 肌 夫 性格 馬鹿 真実
真実とは…?
END